ミナミイシガメはペットとしても輸入されていますが、主に亜種である「ヤエヤマイシガメ」の野性個体が流通しています。
ここではミナミイシガメとその亜種であるヤエヤマイシガメなどの特徴や生態、飼育方法についてご紹介していきます!
ミナミイシガメの特徴や生態
- 生息地:中国南部、台湾、日本(八重島列島)、ベトナム
- 最大甲長:20,5cm
- 食性:雑食性
- 寿命:15年前後
- 値段:10㎝くらいで3,000円ほど
ミナミイシガメはさらに亜種に分かれています。
そちらも含めご紹介いたします!
ミナミイシガメの特徴
最大甲長は20,5cm。
背甲は上から見ると卵型や楕円形をしています。
椎甲板にはあまり発達しない筋状のキール(盛り上がり)があり、大型個体では背甲の後部を除き不明瞭になる個体が多いです。
縁甲板は尖ったりせず滑らかで、背甲の色は灰色や黄褐色、暗褐色をしています。
腹甲は大型でやや細長い形をしており、色は黄色や黄褐色で甲板ごとに黒や褐色の斑紋が入りますが、不明瞭になる個体もいます。
頭部は中型で上顎の先端は凹んでいます。
眼の後ろから首にかけて黄色く太い筋模様が入り、四肢は頑丈で前面には瓦のように大型のウロコが並んでいます。
尾は太く短くやや扁平で、四肢や尾の色は黄褐色や暗黄色をしています。
幼体は椎甲板と肋甲板にキール(盛り上がり)があり、後部縁甲板の外側(外縁)はやや尖っていますが、成長するに従いキールや縁甲板の鋸歯は消失します。
オスはメスに比べて背甲が細長くて甲羅の高さが低め。
そしてオスの成体は腹甲の中央部がハッキリと凹んでいるのがわかります。
オスの成体は幼体やメスに比べ尾が長いです。
さらにミナミイシガメは亜種が2つあり、それぞれの特徴があります。
タイリクイシガメ
1つ目がタイリクイシガメ(またはミナミイシガメ)で、最大甲長は19,5cm 、オスとメスでは甲長は変わらず。
背甲はややドーム状に盛り上がっており、上から見ると細長い傾向があります。
背甲の色は暗褐色や濃褐色で、腹甲には大型で明瞭な暗色の斑があり、それが繋がって帯状になっている個体が多いです。
頭部の色は暗褐色で、眼の後ろあたりから鼓膜にかけて明黄色のハッキリとした筋状の模様が入っています。
吻端から眼の前部分にかけても筋状の模様が入る個体がいます。
ヤエヤマイシガメ
2つ目がヤエヤマイシガメ(またはヤエヤマミナミイシガメ)で、日本の固有亜種。
最大甲長は18,9cmでメスよりもオスのほうがやや大型になる傾向があり、メスの最大甲長は17,6cm。
背甲は扁平で上から見ると幅広い傾向があり、色は黄褐色や明褐色、腹甲は小型で不明瞭な暗色の斑が入り、それが繋がらない個体が多いです。
頭部の色は灰褐色や黄褐色、淡褐色で、側頭部の筋模様が不鮮明で消失する個体もいます。
眼の前方に筋模様が入りません。
ミナミイシガメの生態
ミナミイシガメは主に温暖湿潤気候の低地から丘陵にかけて、亜種のヤエヤマイシガメは主に平地で流れの緩やかな河川や池沼、湿原、用水路、水田などに生息し、底質が泥で水生植物が茂った水深がやや浅めな止水域を好みます。
半水棲で、幼体は水棲傾向が強く水場から離れることはあまりありません。
夜行性で昼間は水中の泥や落ち葉の中などに潜って休んでいます。
曇りの日や雨の日で気温が高い日は昼間でも活動することがあります。
食性は雑食性で、魚類、両生類の幼生や昆虫、小型の甲殻類、ミミズ、植物の葉、藻類、果実などを食します。
成体は陸でも水中でも餌を食べ、水場から離れた陸上で餌を食べることもあります。
繁殖形態は卵生で、飼育下ではオスが水中でメスの上に乗り、四肢を甲羅に引っ掛けながら首に噛みついてメスの動きを止め、強引に交尾を迫ったという例があります(-_-;)
イシガメ科の水棲種はオスよりもメスのほうが大型の種類が多いのですが、本種はオスとメスの大きさがほぼほぼ同じかオスのほうが大きいので、メスに強引に交尾を迫る際に有利だと考えられています。
そして、特にオスなんですがオスメス他種関係なく強引に交尾を迫るそうです( ̄m ̄〃)ぷぷっ!
なので単独飼育することをオススメします(笑)
日本では6~8月に水辺の地面が露出しやや乾燥した場所に穴を掘り卵を産み、飼育下では1回の産卵で1~7個ほどの卵を年に数回に分けて産んだという例があります。
ミナミイシガメと人間との関係
ミナミイシガメは中国では食用や薬用にされることもあります。
悲しいことですが、道路建設や宅地開発、農地開発、護岸工事による生息地の破壊、生活排水による水質汚染、食用や薬用、ペット用の乱獲により生息数が激減し、2003年にサイテスⅡ類に掲載されることに。
一方、ヤエヤマイシガメですが、近畿地方の個体群は1920~1930年代に台湾から移入された記録があり、形態が類似していることから台湾産の個体に由来する可能性が高いと言われています。
各地で逃亡、遺棄されたと思われる亜種のヤエヤマイシガメの発見例があり、在来種との交雑による遺伝子汚染が心配されています。
移入個体群の可能性が高いのですが、1983年に京都市で天然記念物に指定され、採集や飼育は厳しく制限されています。
もちろんペットとして飼育されることもあり、日本にも輸入されていますが、それは主に亜種であるヤエヤマイシガメの野性個体が流通しています。
基亜種の流通は少なく、滋賀県産の野性個体が流通することもありますが、サイテスⅡ類に掲載されて以降輸入がほぼ停止したので飼育下で繁殖した個体が少量ではありますが流通しています。
ミナミイシガメの飼育方法
ここからはヤエヤマイシガメに基づいた飼育方法を、必要な飼育道具も含めてご紹介していきます!
ミナミイシガメ(ヤエヤマイシガメ)に適した飼育環境
大体クサガメやニホンイシガメとほとんど同じ環境で大丈夫です。
水場と陸場の両方を設置してあげます。
ヤエヤマイシガメは気温が上がるのは問題ありませんが、秋から冬にかけて気温が下がるときに風邪を引いたりしますので注意が必要ですが、室内で飼育する際は水温と陸場の温度管理を気を付けていれば大丈夫です。
クサガメとニホンイシガメと違うところは、あまり陸場に上がって日光浴をしないところ。
なのですが、個体差もありますのでちゃんと陸場を設け、陸場で日光浴が出来るようにバスキングライトを設置しておきましょう。
夏場は必要ないかもしれませんが、冬場はしっかりと管理しましょう。
水中にシェルターを設置してあげたら、落ち着くと思います。
まだカメが小さくて水深が浅いのならこんなシェルターも良いでしょう。
カメの大きさにもよりますが、こんなものも面白いかと。
カメが大きくなると市販のシェルターがなかなか見つからなかったりします。
その場合は素焼きの鉢植えを水に入れたり工夫しましょう。
その他の飼育環境はこちらを参考にして、水温は23℃以下にならないように気を付けてください。
ミナミイシガメ(ヤエヤマイシガメ)の餌
与える餌ですが、カメ専用の人工飼料をメインに、ザリガニなどの甲殻類や小魚などの生餌を時々与えます。
生餌でなくても食べてくれるなら、たまに上げる餌は乾燥したエビなどでOK。
その方が飼い主としても楽ですよね♪
人工飼料は亀の大きさなどに合わせて選びましょう。
こちらを参考にしてください。
よく食べてくれるカメなので、人工飼料も馴れれば食べてくれると思います。
餌を与える頻度は、幼体時は毎日食べるだけ与え、食べ残しはすぐに片づけます。
成体になると毎日でなくても大丈夫ですが、毎日与えるなら腹八分目にしましょう。
これは飼育している子をよ~く観察して判断します。
もし餌付いてなかったり、馴れていないカメちゃんなら、朝と晩の2回に分けて少しづつ与えるようにし、カメちゃんの負担にならないよう配慮します。
数日たっても餌を食べてくれないなど気になることがあれば、こちらも参考にしてみて下さい。
ミナミイシガメ(ヤエヤマイシガメ)まとめ
いかがでしたか?
比較的飼育しやすい種類のカメと言われていますが、やはりそこは生き物です。
あくまでご紹介した方法はベースとして参考程度にし、飼育している子の様子を見ながらアレンジすることも重要ですよ~♬
是非、終生可愛がってあげてください!
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