セマルハコガメはイシガメ科ハコガメ属に分類されるカメです。
さらに種類があり、そのうち日本固有種である「ヤエヤマセマルハコガメ」は天然記念物に指定されており、飼育はおろか見かけても触ったりしてはいけません。
そんなセマルハコガメの特徴や生態、そして飼育についてご紹介していきたいと思います!
その他のハコガメについてはこちらをご覧ください。
セマルハコガメの特徴や生態
- 生息地:中国(安徽省、河南省、江西省、江蘇省、湖南省、湖北省、浙江省、福建省、広西チワン族自治区、)、台湾、日本(石垣島、西表島)
最大甲長:19,5cm
食性:雑食性
寿命:20年くらい
値段:2万円前後~
セマルハコガメにはさらに2種類存在します。
それぞれの生息地や特徴も合わせてご紹介いたします!
セマルハコガメの特徴
※特徴に関して専門用語みたいなのがありますが、青文字をクリックすると、図が見れます~。これを見るとより分かりやすいです♬
セマルハコガメの最大甲長は19,5cmで、背甲はドーム状に丸みを帯びて甲高になっており、中央から少し後ろ側で甲高が高くなっています。
そのさらに後方では最も背甲の幅が広くなっていて、背甲の形は上から見ると楕円形や卵型をしています。
背甲にある項甲板はやや大型で後ろ側が幅広い楔型や等脚台形をしています。
椎甲板は筋状にキール(盛り上がり)があり、肋甲板はキールがないまたは破線状になっています。
縁甲板は鋸状には尖らず、背甲の色は赤紫色を帯びたような暗褐色や黒褐色をしています。
孵化直後からある甲板の周辺は赤やオレンジ色になる個体が多いですが、成体のセマルハコガメは一部のみが明色になる個体もいます。
椎甲板のキールの周辺は黄色やオレンジ色の縦縞が入り、縁甲板の下の方は黄色や淡い黄色をしています。
腹甲の大きさは大型になり、切れ込みなどは入らず、左右の肛甲板のシーム(つなぎ目)は摩耗することが多く、傷が治って傷が塞がったように見えます。
腹甲には蝶番というものがありますが、それは皆がよく知る蝶番のように折れ曲がったりする部位がセマルハコガメには存在し、(他のハコガメには蝶番ありますよ~)頭や手足などを甲羅の中にひっこめた後に、この腹甲にある蝶番を使って、背甲との隙間を完全に閉じることが出来ます。
このような特徴が「ハコガメ」と名がつく由来でもあります。
腹甲の色は黒や黒褐色をしており、胸甲板や腹甲板の外側は個体によっては他の甲板もですが、淡黄色や黄色をしています。
頭の大きさはやや大きく、吻端はあまり突出しておらず、上顎の先端は若干ですが鉤状に尖っています。
頭部の色は褐色や暗黄色と変異が大きく、鼓膜の周りには楕円形、後頭部側面では楔型の黄褐色やオレンジ色の斑紋が入ります。
四肢の背面の色は暗褐色や濃灰色、腹面の色は明褐色をしており、尾は太くて短いです。
孵化直後の幼体は甲長が3,2~4cmで、背甲は扁平で後部の縁甲板の外側はかすかに鋸状に尖り、左右の肛甲板のシームがハッキリとしています。
セマルハコガメにはさらに2種類存在しますが、その一つがチュウゴクセマルハコガメです。
生息地は中国(安徽省、河南省、江西省、江蘇省、湖南省、湖北省、浙江省、福建省、広西チワン族自治区)、台湾で、背甲が盛り上がっており幅が広く、第1椎甲板の横幅が比較的小さい傾向があります。
そしてもう1つがヤエヤマセマルハコガメで、生息地は日本の石垣島、西表島の固有種です。
身体的特徴は、背甲が扁平で細長く、第1椎甲板の横幅が大きい傾向があります。
セマルハコガメの生態
チュウゴクセマルハコガメは標高800~950m、ヤエヤマセマルハコガメは標高が400m以下にある広葉樹林やその周辺に生息しており、森林内を流れる河川やその周辺、沼や沢地などの湿度が高い環境を好んでいます。
広葉樹林の周辺の茂みや農耕地で採食や産卵を行うこともあります。
昼行性の陸棲種のカメで、夏場に水場の周りに集まったり、浅い水場に浸かることもありますが、潜ったりすることはごく稀です。
食性は雑食性で、昆虫やクモ、陸生の貝類、ミミズ、動物の死骸、果実などを食べますが、車で轢かれた動物の死骸や牛糞に集まった昆虫を食べることもあります。
本当に幅広いものを食べますね~。
繁殖形態は卵生で、6~9月に1回、2~6個以上の卵を数回に分けて産むと考えられており、飼育下では3回に分けて産んだという例もあります。
卵は30℃の環境で68~72日、28℃の環境下では最長101日で孵化します。
そして発生時の温度が一定の温度より高いとメスになる可能性が高くなるという面白い特徴があります。
セマルハコガメの現状
中国では食用や薬用とされています。
そして残念なことに開発による生息地の破壊や道路脇の側溝によって生息地が分断されたり、落下死したり、交通事故や食用や薬用、ペット用、はく製用としての乱獲などによって生息数が激減しています。
日本国内では天然記念物指定以降も密猟された可能性が高いそうです(# ゚Д゚)
日本ではセマルハコガメの亜種であるヤエヤマセマルハコガメが1972年に国の天然記念物に指定され、その一方、本来なら生息していない沖縄島、黒島、波照間島などで本種の発見例があるそうで、特に沖縄島での発見例が多いことから、多くの個体が定着している可能性が高いと言われます。
沖縄島では本種とリュウキュウヤマガメの属間雑種が発見され、遺伝子汚染が懸念されています。
セマルハコガメの歴史としては、ペットとして飼育されることもあり、日本のも輸入されていますが、1980年代までは台湾産、1970年代以降は中国の野性個体が流通していました。
その後2000年にハコガメ属のカメが属単位でワシントン条約(サイテス)Ⅱ類に掲載され、流通量が激減。
現在は主に飼育下での繁殖個体が流通しています。
セマルハコガメの飼育
そもそもセマルハコガメは飼育できるの?って感じですが、ヤエヤマセマルハコガメ以外であれば飼育は可能です!
セマルハコガメの飼育環境
セマルハコガメは昼行性で陸棲種のカメです。
なので水槽じゃなくても飼育は可能。
セマルハコガメを飼育するケージの大きさは、最低でも横幅が60㎝あるものを選びましょう!
子供の頃は大きさに合わせて、簡易なカメの飼育セットなど小さいものでもOK。
それが狭くなったら最終的な大きさのケージや水槽にチェンジ。
元気に動き回る姿を見たいのであれば、90㎝幅などのケージや水槽がオススメです。
こんな木製のオシャレなタイプもありますし、定番なタイプもあります。
そして、飼育する際は単独飼育がオススメです。
気性が荒いので、他の個体に噛みついたり、弱った個体を捕食することもあるんです(;^_^A
そして飼育するケージや水槽を選んだら、レイアウトです。
陸棲種で湿度が高い環境を好みますから、床材にはヤシガラや水苔などを使用します。
排泄物を見つけたらすぐにその周辺の床材も取り除き、床材が減ってきたらその分足します。
1~2か月に1回は全ての床材を交換してください。
何故なら虫が湧いてきたりする可能性があります((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
床材によっては虫がすぐ発生するものもあるので、もし嫌ならヒノキチップを床材に混ぜると予防になります。
ヒノキチップを混ぜたからと言って、2か月以上放置しないように!!!
床材を全て交換するときには飼育ケージ内も綺麗に清掃します!
床材やケージ内の壁面には1日2回ほど霧吹きで湿らせます。
乾燥する時期には回数を増やすなどしてください。
飼育ケージ内には日光浴をする場所(バスキングスポット)を作ります。
その場所にはバスキングライトを当てます。
バスキングスポットの温度は28~30℃になるように温度を保ちます。
夜間は消します。
バスキングスポット(ホットスポットとも言う)はケージ内の左右どちらかに寄せて作り、その反対側の温度が25~27℃ほどになるようにします。
反対側の場所をクールスポットともいい、ホットスポットとの温度差をつけるようにしてください。
バスキングライトでケージ内の温度を保てない場合(冬など)はパネルヒーターなどを使ってケージ内を暖めます。
こちらはケージの上部がメッシュになっている場合そこに取り付けることが出来ます。
そうじゃない水槽やケージであれば、他のパネルヒーターをケージの外側から壁面に貼り付けて温めたり、保温球を使ったりします。
その他には紫外線ライトも必要です。
バスキングライトと紫外線ライトが一緒になったタイプもありますのでお好みで。
そして体が浸かれるくらいの大きさの水容器に体の半分くらいの水深になるように水を入れ設置してあげます。
水は毎日取り換えるように。
そして、隠れる場所も作りましょう。
出来れば2か所欲しいです。
カメが大きくなったら、市販のシェルターが見つからないかもしれません。
その場合は植木鉢を横にしたり、流木やフェイクグリーンなどで手作りしたりしましょう!
もし飼育していて、カメちゃんが水の中に使っているようなら、温度が高い可能性もありますので、カメの様子をいつも観察することが大切です。
簡単に説明しましたが、詳細などはこちらの陸棲種のカメの基本的な飼育法をベースにしてください。
餌についても書いてあります~。
爬虫類全般の飼育に関してはこちらがとても参考になります。
もしあなたが爬虫類飼育の初心者ならなおさらです。
セマルハコガメの餌
セマルハコガメは雑食性で、かなり広範囲な餌を採食します。
飼育下ではカメ専用の人工フードを主食として与えると、栄養バランスが良いのでおすすめです。
人工フードも何種類か用意し、その他に昆虫や果実、野菜などを副菜(人間で言うとおかずみたいな感じかな)として与え、ローテーションを組んで与えてください。
餌に頻度は成体なら2日に1回、腹八分で与えてください。
餌の種類などについてはこちらを参考にしてください♪
セマルハコガメのまとめ
いかがでしたか?
ヤエヤマセマルハコガメは飼育できませんが、その他のセマルハコガメは飼育できますので、もし機会があれば、終生大事に可愛がってあげてください♪
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